報道が反ワクチン運動で学んだこと という記事

カルフォルニアのローカル・NPOメディア、calmatter の寄稿記事がとてもよかったので紹介したい。

元記事はこれ。

calmatters.org

 

反ワクチン運動が自粛を無視してあちこちで抗議行動をしているのだけど、これを適切に報道するために気を配るべきことは?というのが趣旨で、職業ジャーナリスト協会の倫理規定によるなら、「コンテクストを提供」「不正確にならないよう、単純化しすぎないように十分配慮する」となっている。だがこれは言うほど簡単ではない。具体的には、以下のように考えてみよう。

 

1. 抗議運動の大きさは?

カリフォルニアではほとんどの場合300人以下の小さなものだ。だが、写真やビデオではしばしば実際より大勢だったように見えてしまう。特に望遠レンズの映像や車を連ねての抗議運動だとそうなりがちなので、概算でも人数を入れるべき。

 

2. 抗議をしている人たちはどういった人々を代表しているのか?

詳しく取り上げると、一般大衆の代表のように間違った描き方になってしまい、誤解を与え、政治家は、これは有権者のごく一部であると気が付かずに、こうした人々を支持しなくてはならないという誤った信念に導かれてしまう。

もちろん、ステイホームしているから、いつも参加できないデモに参加したという人もいるだろう。だから記事は、どの程度の人々がどういう考えを持っているかのデータを含んでいるのが望ましい。

 

3.誤ったバランスの両論併記になっていないか?

科学記者ではなく、政治記者や一般記者が反ワクチン運動を取材すると、政治的な側面だけに注目して、反科学的な主張のデバンキングをしなかったりする。公衆衛生専門家の意見を聞かねばならない。

 

4.関与しているのは誰だ?

抗議運動の主催者と政治的なゴールも論じるべきである。草の根市民活動に見えても、もっと大きな組織がスポンサーで推進しているかもしれない。

小さい抗議運動を取り上げない方がいいという声もあるが、こうした抗議運動はアメリカの報道の自由と同じくらい重要な伝統なので、適切に取り上げるのが報道記者の責任だと言える。

 

カリフォルニア大学のリチャード・カルピアノ教授の寄稿でした。

ジャーナリストじゃない人にも、具体的で参考になります。これは概略なので、ぜひ元記事にチャレンジしてください。